SEAMOに感じるざわざわするような違和感。
今日、正体がわかった。
あれだ。
あの人私の中ではm.c.a.tと同じポジションなんだ!!

いやだからってなんな訳じゃないけど。
あの人がテレビに出てるのを見ると
富樫が「ボンバヘッ!!」と歌ってた頃の
気恥ずかしい気持ちが呼び起こされます。

まぁそれだけ。
ISBN:4086008238 文庫 今野 緒雪 集英社 ?440

さぁ、久し振りに更新したと思ったらこれですよ。
京極堂の新刊を買いに行ってマリみての新刊買って帰ってきたよ。

あ、ネタばれは無しの方向で。
ネタバレバッチこいの自分も、このシリーズだけはイヤなんで。

えーと、感想。
乃梨子志摩子乃梨子志摩子。

特に乃梨子。あんた素晴らしい牽引者になったよ!!
イマイチ行動しきれない祐巳と、
イマイチ煮え切らない瞳子にイライライライラする今の展開。
あんたが居るから救われる。主に読んでる私が。

柏木と乃梨子がど真ん中に居る話だったら
どんだけサクサク話が進むか。

ま、今回私の好きな黄色はほぼ出番無し。残念。


★★★☆
この読書感想文ではご無沙汰ですよ。
DNの皆様、お元気でしょうか。

なんかね、最近まったく本読みたくねぇのよ。
手元には『乙一の銃とチョコレート』、
『百?先生月を踏む』久世光彦、
それから僕らの山田悠介『ブレーキ』が控えてるって言うのに。

たいして忙しいわけでも無いのになー。
読んでもちっとも頭に入ってこない。何の感動も無い。
そういう時期なのかしらん?と思ってしばらく読書は放置。

近況。
背中真ん中くらいまであった髪をバッサリとボブにしました。
で、ここ何年も前髪レスだったのを、何年ぶりかに前髪を作りました。
『私何長い髪に固執してたのかしら?』と後悔するほど
ボブは良いです。思ってたより全然服を選ばない。
ただ、スタイリングが面倒だけどな。

近況。
DVDレコーダーを買いました。
トムヨークのアルバムを買いました。
快楽亭ブラック師匠にお会いしました。
ラーメンズの『日本語学校』のCDを買いました。
『ケッ。マルチの癖に』と思っていたアムウェイのストッキングが物凄く丈夫で感動しました。でも買わねぇ。
辛子色のジャケットを買いました。

近況。
好きな人が年々増えていって、幸せな反面、怖い。
私はこんな風に好きな人たちに無防備に心を預けているうちに
自分で自分の心の面倒を見られないヒトになってしまうんじゃないかと。

近況。
まぁ、それでも私は元気です。
自サイトのほうはここよりは更新してるんで、
たまには見に来てやってください。
ISBN:4620106089 単行本 井上 夢人 毎日新聞社 2000/01 ¥1,995

仲の良かった姉を殺される現場に立ち会ってしまった主人公。
後頭部からガツンとやられて、大重症。
一ヵ月後目覚めたときの世界は、色とりどりのゼリーに彩られた物だった。
どうやらこのクラゲみたいなゼリーみたいなものは
『匂い』らしい、ということに気付いた主人公は
行方不明になったバンドメンバーと姉を殺した犯人を探し始める。
なお話。

私にとって井上夢人って人は『鉄板』である。
基本、本を所持しない私でも井上夢人の『風が吹けば桶屋が儲かる』はちゃんと手元においてあるし、ね。
今回もそれなりのページ数もあるいわゆる長編小説なのだけれども
読んでる途中でダレない。
現実にこんな症状が有ろうと無かろうと
この本の中では説得力をもって語られている。
無駄な登場人物が登場しないのも良い。
役割を持った人にだけ名前が与えられて、余計な名前が入ってこないので印象が混ざらない。

CGのような鮮やかな世界。

まぁ、この本の犯人探しってのは主テーマじゃない、って事で。
そっちの書き込みが浅いのは許してあげましょうよ。ね。



★★★★

誰のための綾織

2006年8月21日 ★★
ISBN:4562038896 単行本 飛鳥部 勝則 原書房 2005/05 ¥2,100

三人の少女と、哲子先生。
新潟県中越地震のあの夜、誘拐されて監禁された。
自殺したクラスメイトの父親と兄と、大男。
さぁ、何が起こるのでしょうか。
なお話。

えーと、まずこの本自体の感想。
ドイツもコイツも不必要に理屈っぽい。
その不必要な理屈っぽさと無駄に織り込まれた知識、
それが全体の雰囲気を滑らかに動かしてる感じがしたので
これはこれで手法としてアリだと思われます。
ミステリとしてどうとかではなく
少女崇拝小説。

少女漫画は全く読まないので
この本が盗作だ、と言われ問題になった
三原順氏の「はぐれっこ」シリーズも拝見した事は無いのだけれど
盗作ってのパクったほうのファンもパクられたほうのファンも
大概にして傷付くもので在るらしいですね。

世の中パクりパクられ。今更何を思う事も無いけれど
せっかく書いたものが評価される以前のものになってしまうのは
とても悲しい事だと思うのですよ。





★★
ISBN:4087747786 単行本 岩井 志麻子 集英社 2005/10 ¥1,470

瞽女、盲目の女ばかりが集まる屋敷の美貌の女主人、すわ子。
不細工でも美人でもなくやたらと暗い(Syrup吐く血か!)お芳。
馬や牛だと例えられる醜女だが根拠も無い自信に満ち溢れてるイク。

この三人が、『牛女』の幻想に取り付かれるすわ子を中心に
一人ずつ語り手を代えてこの世ならぬものと関わっていく。
なお話。

岩井志麻子本領発揮!!なテーマだよな。
『件(くだん)』と近親相姦と血の繋がり性の在り方。
全部を岩井志麻子がミックスするとこういう話ができるわけだ。
所々でてくる岡山弁がまた良い作用を。

空気だとか衣擦れの音とか匂い立つ色気なんてのが
紙面から感じる異色な作家だと思う。

物凄いベタな誉め方をすると
『キャラが立ってるから、どの視点でも割と感情移入しやすい』


ウワ。



★★★★☆
ISBN:4093876193 単行本 きむら ゆういち 小学館 2005/12 ¥1,470

それなんてエロg…恋愛小説?
って位のオオカミガブと、ヤギのメイの愛の逃避行物語。

本来なら食べる側と食べられる側。
ひょんな事から心を通い合わせるようになる。

信頼関係が段々出来てきてから初めて
互いの種としての本能に目が向き
向かい合わなくてはいけない所なんてなかなか見応えがあったよ。

無くてはならない存在なのに、
その関係は他者からみたら酷く不自然で
相手を疑って辛くて理解しようとする姿勢。

こりゃー友情物語というより愛情物語だなー。
映画は観てないんだけど、まんまこのままの話なのかな。

さすが作者がベテランさんなだけあって
見せ所、聴かせ所がキッチリと作られてある。
大人でも楽しみながら読めるお話でした。

ま、ちょっとキレイ過ぎるんじゃねぇかな。
と思ったのは私の方の都合でしょう。多分。




★★★★
ISBN:4344002857 単行本 山田 宗樹 幻冬舎 2003/01 ¥1,680

ベストセラー本を読んでみよう週間第3弾。
映画は観ないで読んでみよう。

才媛であり別嬪さんであり小学校教師であった松子が
なぜブクブクに太って近所の人から嫌われて
一人で死んでいかなくてはいけなかったのだろうか、
なお話。

出てくる男出てくる男がこれがまぁロクデナシばっかりで
でもそれ以上に救いが無いのは松子自身の振る舞いだ。

父親に愛されなかったのが根元にあると言いたいのだろうが、
もう「これは私が男でもこうしたくなるよ」と
思わず私が思ってしまうほど松子自身の立ち振る舞いが救いが無い。
転落人生は松子自身が選び取ったものだ、とすら私は思う。
そこでの松子の一生懸命さや情に厚い真面目な性格は
マイナスポイントを加算するだけだ。
むしろ無い方が幸せになれるんじゃないか、と思ってしまう位だ。

共感や哀れみなどは私には全く無かった。
だけど、徹底的に救いのない物語だからこそ最後まで読めた。
(最後の名刺の使い方とか巧いよなぁ。落差だよ落差。)
救いが無いことがむしろ読者である私には救いだった。

このテンポのよさは映画だったら多分面白い。
映画見とけばよかったなぁ。



★★★☆
ISBN:4594049664 単行本 リリー・フランキー 扶桑社 2005/06/28 ¥1,575

岸辺露伴が言っている。
『そしてたとえ平凡でも人の人生を見るのはおもしろい』。

リリー・フランキーのベストセラーを借りて読了。

オカンと僕を話の中心に置いて、語りがすすむ。
このお話、読者が親とどういう関係を築いてるかによって受ける印象が結構違うんじゃないかしら。
そんなに親といい関係を築けなかった人にはこの本は少し暴走してるように映るかもしれないなぁ。

自他ともに認めるファザコンであり、母とも仲が良い私としてはもう涙ナシには読めない。
エグエグ泣きながら洟をかみながら読んだ。

最初に露伴ちゃんの言葉を拝借した通り、
このオカンは平凡な女の人なんだと思う。
けっして超人じゃなかった。達観してだっていなかった。
子供を思って、女として生きる普通の人だったんじゃないかな。
リリーフランキーの一世一代の大作品はこの栄子さんという人がいたから出来た。
平凡な母子関係の中に登場する平凡な母子は平凡な生活をする。
それがいかに簡単でいかに難しいことか26歳の私には良く分かる。

そうだ。私も置いていかれる日が来る。
あーーー。生きていくのって怖い事だらけだよ。




★★★★☆

処刑列車

2006年8月3日 ★★★★
ISBN:4309013120 単行本 大石 圭 河出書房新社 1999/10 ¥1,890

今日はsyrup16gのライブ観に都内まで出てきた。
(それは本宅で明日あたりUPさせてください。)
で、電車内で1時間45分ヒマそうなのでこの本を持参。

突然のトレインジャック。
拳銃を持った男達はまず車掌と運転手を無碍もなく射殺。
恐怖感を煽られながら理不尽に殺される乗客たち。
犯人の目的は一体なんなのか。何が犯人達をその事件に駆り立てたのか。

な話なんだけど、この作者の人、呪怨のひとだよね?
ホラー作家の書く本にミステリ要素を期待する方が間違ってる。
確かに犯人達の書き込みは甘い。
(え?そんなんで?)と考えの甘い私なんかは思ってしまいがちだ。

だが!だが考えていただきたい。
ホラーにそんなこと本当に必要なのかを。
むしろ犯人の内面なんか一個も書かなくても良いくらいではないか。
突然の死の恐怖に怯え失禁し自己保身に走る。
それでも殺される乗客たちが逃げまとう姿こそこの本のすべてではないのか。
腐臭と生臭い血の臭いが沸き立つ車内の描写こそこの本のすべてではないのか。


なんつて。
実は私自身もこの本電車内で読んだから、
妙に背景が想像しやすくて読みやすかっただけなんだよな。
だからこの本に対してはちょっと評価が甘い。
家のパソコンデスクで読んでたらこんな擁護してなかったと思うしね。

えーと。電車で読むのがオススメです。(お粗末。)




★★★★
ISBN:412003609X 単行本 GoAhead & Co. 中央公論新社 2005/01/25 ¥1,050

雨後の筍。そして二匹目の泥鰌。
「電車男」が売れたからって同じ様にこの手の物が売れるとは限らないってこった。(エ!?売れたの!?)
本屋で感動した感動した書いてあるから手にとってはみたが、
あまりにお粗末。よくこれ本になったな。

妻の浮気と密会を携帯電話で知ってしまった男が
教えて掲示板にどうすればいいのか、
いや、自分が考えてる以上の報復の仕方はあるか
を相談するのだが(少し私の意地悪な目線でこの感想語ってます)

解答者がああでも無いこうでも無いと一緒に考えてくれた上で
結局自分の考えだけで行動する相談者の話。
なんじゃそら。

他人の相談に乗りたがる奴ってのは日常生活でも沢山居るので
別にコレがネットだからとか匿名性ゆえ等は思わなかったし
電車男のような「いつのまにか応援してあげたくなる」雰囲気が
この相談者にはほとんどない。
相談者は相談者で「私の意見」「いや私の意見」「いや私の」と
自分の価値を押し付けてる様にしか私には思えなかった。

私個人としては嫁さんの気持ちが良く分かるよ。
色々な意味で。



★★(読み物ではない。少なくとも。)
フジロック行ってきた。
ソニックユース観に行ってきた。
HIVES観に行ってきた。
電気グルーヴが最高だった。

本サイトの方で感想文(レポになってない)を書いたので
もし、あの。あれだったらよろしくです。

http://www15.ocn.ne.jp/~placebo/
私の実家です。

ひとりずもう

2006年7月25日 ★★☆
ISBN:4093861528 新書 さくら ももこ 小学館 2005/07/14 ¥1,050

さぁさぁ来ました私の鬼門。
女性作家・漫画家エッセイ・自称変わり者ちゃん。
さくらももこだよ。あまりのお手隙っぷりに手を出してしまったよ。

青春時代に彼女がどう思ってたのかエッセイ。
生理に嫌悪感を持っていた話が印象深いかな。

サゲの用意されてない友人の話を延々と聞いてる気分になる本。
それは決して悪い事ではないし、友人の話を聞くという行為が好きな人も世の中には沢山居るのは分かっていても
よっぽど突き抜けてないと自称変わり者の話は面白くない。少なくとも私には刺激にならない。

鬼門ってのは「災いが訪れる方角」というのが一般的認知だと思うけど
中国家相風水(胡散臭いワード)では「意識して大事にする場所」として扱われていると聞く。(詳しくないので突っ込まないであげて)

どちらの意味あいでも私にとってのさくらももこは鬼門。
マイナスベクトルの感想を持つものほど気にしてしまう性分だしな。



★★☆

私小説

2006年7月23日 ★★★
ISBN:4062121964 単行本 岩井 志麻子 講談社 2004/01 ¥1,575

まぁ今までも散々言ってる通り、私は岩井志麻子が結構好きだ。
この本は既刊本でもネタになりまくってる
ベトナム人の恋人の話が大部分を占めるんだわ。

常夏の湿った熱気の中で、褐色の肌の美しい恋人とのお話。

でね、私あるテレビ番組で偶然
この恋人の写真を岩井志麻子が見せてるのをみたのね。

うん。どこが素敵なのか全くわからない南米系のお顔でした。
公平にみてもそうだと思う。私の男の趣味がおかしいとしても。

これだから岩井志麻子は良い。
それを踏まえてこの本を読むとなお良い。
彼女には褐色の肌の美青年に見えてる。そしてそのベトナム人の恋人に溺れてる自分が好き。
なんだろう、この人の痛々しさを私はもう特上に愛しい物だと思う。
これが本当にベトナム人恋人が
もう、超顔整った男で、優しくて、セックスも巧くて、
そんなベトナム人恋人に溺れにわざわざ月イチでベトナムに向かう岩井志麻子だったら
私はこんなに岩井志麻子という作家を買ってないんじゃないだろうか。

岩井志麻子はアナーキーだ。



★★★
ISBN:4344010965 単行本 新堂 冬樹 幻冬舎 2006/01 ¥1,680

エスカレーター式の学校に入れるためのお受験。
中流家庭の主人公が、セレブの友人にコンプレックスを沸沸とわかせながら
娘を合格させる為に受験を強いる話。

そういやラーメンズの小林賢太郎プロデュース公演GOODAY HOUSEの2階に
小学校お受験の塾の話があった。
あれは子供の目線での意見が少なからず混ざった話ではあったけれども
この本はあくまで母親視点。一貫して母親目線。

自分が母親から受けた行為、自分がセレブ(この言い方は便利だな。好きじゃないけど)の親友から受けた行為、
自分が旦那から言われた言葉、自分が娘に反抗された事。
全部母親目線。娘から見た受験と言うものがほとんど描かれていなくて、
その所為で酷くアンバランスな話の展開。
受験するのはあくまで娘であるはずなのに、まるで受験が失敗したら自分のすべてが否定されるかのような強迫観念に満ちたお受験。

結局は凶行に走るのだけれども、
そこに至るまではいくらでも方向修正が出来るチャンスはあったじゃないかなぁ。
うっかりお受験なんて結果が出たりするものに依存してしまったのだなぁ。
本当に望んでいた事って娘の将来じゃなかったのだろうし。

それにしたって盲信って本当怖い。お受験至上主義もある意味宗教だな。



★★★☆
ISBN:4087748030 単行本 伊坂 幸太郎 集英社 2006/03 ¥1,470

あと8年で地球に隕石が落ちてきて
君も私も死んでしまう事が分かったら、貴方、どうする?

な感じの短編集。
私はもう、このブログでも言ってる通り、
伊坂幸太郎を現代作家界の良心だと言い続けるよ。

この本の伊坂らしいところはね、『地球に隕石が落ちてくる』ことでもなくて
『落ちるまでに8年在る』でもなくて
『隕石が落ちる、と報道されてから5年後の世界』が設定舞台である処なのよ。
大体この手の話ってのは、隕石で皆死ぬ、と分かった時の人間の混乱と本性と混沌を描くもんだろうと思うのね。

で、敢えてそこを描かずに、人々の気持ちが落ち着いて
まぁ収まるべきところに落ち着いた5年後を描くのよ。
ここ伊坂の伊坂らしいところ。
終末を待つ人々の、それでも終わってない生活。

個人的にはココに至って妊娠した夫婦の話が印象深いなぁ。
あー、この作品読むのに仙台在住が羨ましいよ。



★★★★
ISBN:4344010914 単行本 ヅォウ ジンジー 幻冬舎 2005/12 ¥1,260

ああ、これ映画が先なんだ。
主人公アテガキじゃん。そりゃー高倉健だよ高倉健。(最高に頭悪そう)

映画は観てないけど、多分この物語は映画で見た方が素敵だと思う。
関羽が劉備の家族を守りながら千里を駆けたように、
主人公は大きな大陸を移動する。息子の為に。
ただ、この文章からは「距離」が掴みにくいんだよ。
町から次の町までがパシパシ切り替わっちゃって、
まったく大変なイメージが伝わってこない。
仮面劇もきっと映像の方が素晴らしいんじゃないかと思われる。

ああ、でも高倉健のこの役は良いだろうなぁ。
映画観てみようかなぁ。



★★★

ICO -霧の城-

2006年6月28日 ★★★☆
ISBN:4062124416 単行本 宮部 みゆき 講談社 2004/06/16 ¥1,890

ゲームは未プレイなので少し躊躇ったが
宮部みゆきの安定した筆力を信じて手に取った。

霧の城に生贄として捧げられる為育てられてきた角の生えた少年、イコ。
霧の城で大きな鳥かごに閉じ込められて居た少女ヨルダ。
言葉の通じない二人だが、
意思の疎通もままならないまま少年は少女の手を取って城の脱出を試みる。

なんだか賛否両論らしいけれど、
私は割と楽しんで読んだよ。大人の為の童話みたいだった。
城の仕掛け部分、謎解き、少し難解な単語の所為で頭の中でイメージするのがやや大変ではあったけれども

パステルな色が皆無なほど感じられない城の様子と
その中で一人だけ活きてるイコの生命力などが
私には見えた気がしたからだろうか。
こういった少年活劇は主人公の魅力ありきだと思うので
私はその点を評価したいよ。うん。


★★★☆

間宮兄弟

2006年6月21日 ★★★
ISBN:4093874999 単行本 江國 香織 小学館 2004/09/29 ¥1,365

江國の書く安っぽいセンチメンタルが鼻につく鼻につく、
と言いつづけてもう如何ほどばかり経ったでしょうか。

私は懲りずにまた読む。いやもう、私多分変態だ。
いやもしかしたら私江國が好きなんじゃないだろうか、いっそ。
(いっその使い方を激しく間違えてる)

一軒家に住む仲の良い兄弟の淡々とした日常を語る。
縁あって兄弟に関わった人たちが彼らを見て今までと違った大切な何かを思い出していく話。
そして閉鎖的だった兄弟も外のヒトと関わって変わっていく話。

あ、鳥肌が。

なんかさー。アレ思い出すよ。
(うわー。こいつと付き合いたくねぇ)と内心思ってるくせに
本人には『えー。彼女居ないんですかぁ?居そうなのにぃ』とかいうオンナ。
で、『あ、オレ彼女居そうに見られるのかな。ドキドキ』って素直に思っちゃうオトコ。
で、それを傍で見ている第三者。

出会うヒト出会うヒトみんな間宮兄弟を期待はずれな目で見て
で、パーティーやって、
皆感想が『なんか楽しかった』。
うわー、共感しづれぇ。そう思える根拠が希薄。

さて話は変わるけれども私はスピッツが好きで
世の中にあんな気持ち悪いアーティストは他に無いと思ってるんだけど
その気持ち悪さってのは、正宗があの歳になっても変わらず夢見がちな事を恥ずかしげも無く歌える事と
夢見がちなくせにちゃんと需要に見あった曲を作れる事、
にほかならないのだよ。
歳をとっていく毎に削り取られていく物ってのは私は確実にあると思ってて
オトコの人は特にその傾向が強くて
いつまでもそれを身にまとうオトコのヒトってのはどうも私には異端に映る。
そして捻くれる事も無くそれを後生大事にしている大人のヒトも。

リアリティが無い、と感じてしまうのは私の心が歪んでいる所為か。



★★★

町長選挙

2006年6月21日 ★★★★
ISBN:4163247807 単行本 奥田 英朗 文藝春秋 2006/04 ¥1,300

賛否両論はあると思うが
伊坂幸太郎と奥田英朗は私の中では同じカテゴライズだ。
で、両者を分けるものはなんだ、と言われたら私はこう応える。
『奥田の方がエグい。悪趣味だ。』

今回の伊良部の患者さんは最後の一話を抜かして有名人ばかりだ。
憎まれ役の球団オーナーの話。(ナベツネか。)
六本木ヒルズのIT扉の社長の話。(ホリエさん。)
40代でブレイクの女優の話。(黒木瞳だな。)

まんま移して書いてるので今回は妙に顔が浮かぶ。
ドラマ化でもあるまいし。
……ドラマ化?そ、そうか!
実現不可能なこのキャスト、私たちの頭の中でならいくらだって役者さんは動く。
私たちの頭の中にあるホリエモンの顔と、奥田氏の物語を合わせて
ドラマはスムーズに動くって訳か!
これは物語を楽しむんじゃない、ドラマを見ろということか!
さすが奥田!!エグい!!やり方がエグイよ!!



―――まさか、ね。



★★★★

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