ISBN:4022574925 単行本 藤沢 周 朝日新聞社 2000/04 ¥1,575

T・I・Mの「命」のポーズをして
そのまま屋上から飛び降りた「キョウ」。
この本はその時に一緒に居た仲間の方が主役。
格別悪い訳でもなく、いい子でもない普通の子が
悩んだり何かに救いを求めたりする。
(この手の青春小説はもう読み飽きましたぜ)
と思いながら読んだけれど
青いのも極めれば綺麗かもしれないなぁ。
まぁ、日本語が破綻してる部分はわざと、かな。

「いいか、カズキ。…おめぇのキレ方は、
おめぇの頭の中にある宇宙の狭さのせいだ」


★★★☆
ISBN:4061823590 新書 西尾 維新 講談社 2004/02/06 ¥1,365

大袈裟だが、
あいも変わらず、引き込ませるだけの文章力は往々にしてある方だ。
このシリーズはなんだかんだといって毎回読んでいるが
『ブギーポップ』とか好きな人なら違和感無く受け入れられそうな感じだなぁ。

そう、熱狂するほどの手腕でないのに
それでも毎回欠かさず買ってしまう所は評価する。

それにしても講談社ノベルスもライトノベルみたいの増えたなぁ。



★★★☆
ISBN:4094080236 文庫 嶽本 野ばら 小学館 2004/03 ¥630

映画化もされるそうで。
嶽本野ばら好きの私は一寸だけ寂しい。

芯を一本持っているロリータの桃子の潔い視線が見所の一つ。
あまりにもダサいヤンキー服のイチゴと、それでも相手の持ってるものを無理矢理変えようとしない、その距離の取り方が見所二つ目。

いままで嶽本氏が書いてきたような耽美な世界観じゃないけれど
それを補って余るほどのエンターテイメント性。
余りの爽やかなラストにもう一度読み返したくなること請け合いです。

あー面白かった。


★★★★☆
ISBN:4396207557 新書 伊坂 幸太郎 祥伝社 2003/02 ¥880

この人の本は初めて読んだのだが
なかなかにしてこの表現力。
4人の銀行強盗の話だが、
キャラをちゃんと立たせているにも関わらず、
それに頼りっきりじゃないのは御立派。
テンポがよくありていに言ってしまえば
騙し騙されの連続なのだが、
安心して見ていられるのは
登場人物たちと同じように
読者もリーダー成瀬を信頼しきっているからだと思う。
そこまでこちらに人物像を想像させられる作者の手腕ではないか。

ま、敢えて言うならば、
雪子の絶対時間能力と
成瀬の嘘発見能力はもう一寸上手く使えたんじゃないのかなー、と。

また、機会があったら他の作品も読んでみよう。

★★★★☆
ISBN:4594029795 文庫 金子 浩 扶桑社 2000/09 ¥660

『隣の家の少女』が陰惨さに重点を置いているのなら
こちらは随分アクティブだ。
食人族VS都会から来た何名かの若い男女のお話。

強く、賢明で魅力的な姉は序盤で腹を裂かれてローストにされ
消極的で引っ込み思案な妹は、生き延びる。
ま、ネタバレになるので敢えて言わないが、ラスト近くであの人が死ぬことにだって
作者のありありとした意図が見えるような気がする。

『生きたい』と誰よりも望み、そう行動した者が生きられる。
その他には、『何も』必要無い。
そして陰惨な死は誰にでも平等だ、善にも悪にも。

だれにも彼にもオススメ出来る訳じゃないケッチャムさんの本だが
私は今のところかなりのお気に入りだったりする。
『オフスプリング』はやく和訳されないかなー。


★★★☆
ISBN:4396330464 文庫 倉知 淳 祥伝社 2002/06 ¥400

ううんと。

倉知淳の、あの所帯じみたというか
とっつきやすいというか
凡庸だというか。
とにかくいつもはそこがこの人の味なのだが。
今回に限ってはそれがすべて裏目に出た感じ。

読みやすい、だけがこの本の唯一の優良点。

悪くは・・・無いんだけどな。

★★☆
ISBN:4396330472 文庫 我孫子 武丸 祥伝社 2002/06 ¥400

このシリーズを四季順に読んで行った2作目。
好きな作家さんだけに期待して読んだ。

ネットも好きな我孫子氏。
に本当に起こったようなお話。
所々で納得できないというか、それはちょっと大仰だろう、
と思うところが在ったりもしたが
概ね良好。
作者本人の投影のような主人公が
妙にモテモテなのが気になったが
まあ、それは考えすぎかしら。

ちなみに私はこういう話がでると必ず『クローディアの苦悩か』と反射的に思う。
元ネタが判る人にはネタバレで申し訳無い。

★★★☆
ISBN:4101250219 文庫 伊坂 幸太郎 新潮社 2003/11 ¥660

この人のなにが凄いって

構成と設定の巧みさだと思う。
今回は誰も知らない鎖国の島。
喋るカカシ、処刑人『桜』、侍『小山田』。
魅力的であり、突飛な設定であるにもかかわらず読むと疑問を感じなくなるリアルさ。
リョコウバトの虐殺には心が痛んだ。

リアル世界での城山の残虐さと、荻島の非現実さがうまく引き立てあって、
より一層読者の興味を煽る。(なんの説明だ。コーヒーか)

聞けばこちらがデビュー作。
期待の新鋭。伊坂幸太郎。(野村萬斉似)

★★★★

夜啼きの森

2005年7月26日 ★★★
ISBN:4043596049 文庫 岩井 志麻子 角川書店 2004/05 ¥540

『岡山三十三人殺し』題材。
なぜ辰夫(睦夫じゃなかったか?)が凶行に及んだのか。
同じ題材で、島田荘司の『龍臥亭事件』を読んだときは
睦夫に憐憫と同情を抱いたものだったが
今回はそういうのは一切無し。
状景描写を睦夫の心中とイコールだとするならば
それはもう、歪で禁忌的。

龍臥亭が、睦夫の心理にスポットを当てているのであれば
本作は、その心理を作り出す環境にスポットを当てている印象。

印象としてならこちらが上。でも印象だけ。

★★★
ISBN:4061822616 新書 三津田 信三 講談社 2002/08 ¥1,575

怖エエエエ。
七つの物語と、一つ一つ謎を解かないと起こる怪奇現象。
それがもう、怖い。
変な筆力のお陰で容易に想像できて
普通に本を読みながら背後を気にしてしまう。

まあ、オチが弱いのは、うん。

前作を読んだからこその面白い部分もあったのでまあ、いい。(こういうの好き)


★★★☆
ISBN:4061823930 新書 西尾 維新 講談社 2005/02/08 ¥1,134

ふふふふふ。
とうとう来ましたね。最終章。
私はこの日がくるのを楽しみにしてましたよ。
ここまで来るまで、どれだけの大判風呂敷を
どれだけ広げましたか?いーちゃん。
世界最強。
殺し名、呪い名、戯言、財閥。
さてさて、自分でずいぶん大きく敷いた風呂敷で
皆がちゃーんと納得できる形で物語をうまく包めるのでしょうか。
随分大袈裟な事言ってますよ?
私は期待してますよ?ふふふふふ。
西尾維新が、この広げすぎて張りすぎてしまった伏線をどういう形で
回収していくのか。見ものです!!

とりあえず上巻の感想は保留!
ミステリーではないけれど物語としては面白いです。

★★★★
別嬪であるってのはそれなりに価値のあることなのだなぁ。
とどの短編を読んでも思う。
岩井氏の男の主人公は、男の視点のようで
やっぱり女の視点、であるのですよ。

女性の匂い立つような奥からの色気、
特に同性でしか感じられない色気を
そのままその女性の魅力として位置付けてしまっているから、なんだか話としてアンバランス。
主人公自体のアイデンティティーというか、
そういうものの印象があまり感じられないのはその所為だと思う。

いや、そこがこの人の作風だと思うけど。
どの主人公も一緒じゃん。只の語り部。



★★★☆
講談社ノベルスにはある程度の信用があった。
渡辺浩弐は10年来の私の大好物だった。

『僕たち、どこで間違ってしまったんだろうね…』
と、10年付き合ってた彼女と別れるような気分でラストまで読みました。

まあ、そんな本でした。


★★

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