乱鴉の島

2007年5月23日 ★★★
ISBN:4104308021 単行本 有栖川 有栖 新潮社 2006/06/21 ¥1,785

本格ミステリ大賞受賞作家。
敢えて言おうと思う。
有栖川有栖をデビュー作から見てきた私が言おうと思う。

『え。それで?』

孤立した島。殺人事件。高名な先生。
偶然迷い込んできた主人公達。
有栖川有栖の拘る『本格要素』を詰め込んだ一冊。

でもなー、なんつーか。
華がねぇのよ。話に。
それは火村萌えが無いとかそういうんじゃないのよ。
突飛なトリックとか、奇想天外な真相とかそんなんいらないんだけど
『さ、殺人事件だ。おお、面白くなってきた』
みたいな話の緩急があってようやく面白くなるんだけど
その『転』の展開があまりにスローで
ページを読み進める幸せがあまり感じなかったのです。

この人の短編は『トリックありきの物語』な感じがどうしてもある。
それはミステリーとしてはいいけど小説としてはどうなの?
と思ってしまう。
これを含めた長編は小説らしくはあるけど、
ミステリーとしては面白くない、のですよ。
江神シリーズはちゃんと『ミステリー小説』な感じがするのになぁ。
あ、あくまで独断で言ってるけどさ。

ま、この人と法月綸太郎は文句言いつつ次巻も読むんだけどさ。
そういえば絶叫城は読んでないんだけど、火村の過去は明らかになったの?



★★★

私小説

2006年7月23日 ★★★
ISBN:4062121964 単行本 岩井 志麻子 講談社 2004/01 ¥1,575

まぁ今までも散々言ってる通り、私は岩井志麻子が結構好きだ。
この本は既刊本でもネタになりまくってる
ベトナム人の恋人の話が大部分を占めるんだわ。

常夏の湿った熱気の中で、褐色の肌の美しい恋人とのお話。

でね、私あるテレビ番組で偶然
この恋人の写真を岩井志麻子が見せてるのをみたのね。

うん。どこが素敵なのか全くわからない南米系のお顔でした。
公平にみてもそうだと思う。私の男の趣味がおかしいとしても。

これだから岩井志麻子は良い。
それを踏まえてこの本を読むとなお良い。
彼女には褐色の肌の美青年に見えてる。そしてそのベトナム人の恋人に溺れてる自分が好き。
なんだろう、この人の痛々しさを私はもう特上に愛しい物だと思う。
これが本当にベトナム人恋人が
もう、超顔整った男で、優しくて、セックスも巧くて、
そんなベトナム人恋人に溺れにわざわざ月イチでベトナムに向かう岩井志麻子だったら
私はこんなに岩井志麻子という作家を買ってないんじゃないだろうか。

岩井志麻子はアナーキーだ。



★★★
ISBN:4344010914 単行本 ヅォウ ジンジー 幻冬舎 2005/12 ¥1,260

ああ、これ映画が先なんだ。
主人公アテガキじゃん。そりゃー高倉健だよ高倉健。(最高に頭悪そう)

映画は観てないけど、多分この物語は映画で見た方が素敵だと思う。
関羽が劉備の家族を守りながら千里を駆けたように、
主人公は大きな大陸を移動する。息子の為に。
ただ、この文章からは「距離」が掴みにくいんだよ。
町から次の町までがパシパシ切り替わっちゃって、
まったく大変なイメージが伝わってこない。
仮面劇もきっと映像の方が素晴らしいんじゃないかと思われる。

ああ、でも高倉健のこの役は良いだろうなぁ。
映画観てみようかなぁ。



★★★

間宮兄弟

2006年6月21日 ★★★
ISBN:4093874999 単行本 江國 香織 小学館 2004/09/29 ¥1,365

江國の書く安っぽいセンチメンタルが鼻につく鼻につく、
と言いつづけてもう如何ほどばかり経ったでしょうか。

私は懲りずにまた読む。いやもう、私多分変態だ。
いやもしかしたら私江國が好きなんじゃないだろうか、いっそ。
(いっその使い方を激しく間違えてる)

一軒家に住む仲の良い兄弟の淡々とした日常を語る。
縁あって兄弟に関わった人たちが彼らを見て今までと違った大切な何かを思い出していく話。
そして閉鎖的だった兄弟も外のヒトと関わって変わっていく話。

あ、鳥肌が。

なんかさー。アレ思い出すよ。
(うわー。こいつと付き合いたくねぇ)と内心思ってるくせに
本人には『えー。彼女居ないんですかぁ?居そうなのにぃ』とかいうオンナ。
で、『あ、オレ彼女居そうに見られるのかな。ドキドキ』って素直に思っちゃうオトコ。
で、それを傍で見ている第三者。

出会うヒト出会うヒトみんな間宮兄弟を期待はずれな目で見て
で、パーティーやって、
皆感想が『なんか楽しかった』。
うわー、共感しづれぇ。そう思える根拠が希薄。

さて話は変わるけれども私はスピッツが好きで
世の中にあんな気持ち悪いアーティストは他に無いと思ってるんだけど
その気持ち悪さってのは、正宗があの歳になっても変わらず夢見がちな事を恥ずかしげも無く歌える事と
夢見がちなくせにちゃんと需要に見あった曲を作れる事、
にほかならないのだよ。
歳をとっていく毎に削り取られていく物ってのは私は確実にあると思ってて
オトコの人は特にその傾向が強くて
いつまでもそれを身にまとうオトコのヒトってのはどうも私には異端に映る。
そして捻くれる事も無くそれを後生大事にしている大人のヒトも。

リアリティが無い、と感じてしまうのは私の心が歪んでいる所為か。



★★★
ISBN:4286000001 単行本 山田 悠介 文芸社 2005/08 ¥1,155

来ましたよ僕らの山田悠介君!!
(過去ログ:http://diarynote.jp/d/71158/20050902.html
  http://diarynote.jp/d/71158/20050731.html)

んーとね。
ぶっちゃけちゃうとね。

そんなに悪くなかった。少なくとも上の2冊より全然マシ。
自殺スイッチを埋め込まれて収容所で生活する子供が3人。
で、その看守が主人公。
主人公は3人を脱走させる訳ですな。

ワンアイディア物だけど、設定自体は決して悪くない。
例えば伊坂幸太郎がこんな設定で書いた日にゃどんな傑作が生まれるのかしら、と思えるほどだよ。

でもなー。それだけなんだよなー。
文章が!だって文章が!!
例えば
政府は無差別に選んだ子供に、五歳で心臓の手術を受けさせる。

無差別より無作為じゃないかなぁ。どっちかと言うと。

しばらく口を閉じたままであった……。

『しばらく口を閉じたままだった。』
これでいいじゃん?であった、って言われましても。
なんで…多用するのかといわれたら答えは簡単。

物と物の間隔を文章で上手く書き表せないからだ。
“ぼかし”なのだよ“ぼかし”。

でもこの…。本当に沢山出てくる。
初めの頃の作品よりもしかして増えてる?
ぼかしが多用されすぎた絵はなんか輪郭があやふやになってくるのと一緒で凄く読みづらくなったのは否めない。

ちなみにこの本はサゲ(落語愛好者なのでこっちを使わせてください)が上手だと言う評判らしかったが
こっちは私にも想像出来たので、多分割と小説慣れしてる人には物足りないかも。

いや、でもこんなぶちぶち言ってみたけど
私割と楽しんでこの本を読んでましたよ!
凄いな。山田悠介、もしかしたら成長してるのかもよ。



★★★(頑張りました!!)
ISBN:4061822454 新書 法月 綸太郎 講談社 2002/06 ¥861

アレですね。
『トリックありき』ですね。
トリックの披露の為に付けられた物語な感じが。

いつもそうなんだけど短編集ではもう、なんか、酷い。
しかも、『俺はそんなん他人に言われるまでもなく分かってやってるんだよー』みたいな事を
しらじらしく登場人物に言わせるのもなんだか潔くないし、
最後の一文だけが妙に綺麗に決まってたりするので
どうもラストから書いてるんじゃないか疑惑も持ち上がってます。(ねぇよ)

でも、ここまで言ってなんだけど、
私結構好きなんですよこのシリーズ。
多分一度として手放しで誉めた事なんか無いのに、
毎回ちゃんと読んでるのがその証拠。
今回は物語的にはちょっと無理があるけど
『都市伝説パズル』は事件としては面白いと思うし、
『中国蝸牛の謎』はトリックはアレでも導入は結構好きだし。

まぁ、でも凄いよね。言葉選び。
今回『隠れホモ』って単語が…。
この、石を投げればゲイにあたる昨今に凄い言葉使いますね、先生。




★★★
ISBN:4408534501 単行本 戸梶 圭太 実業之日本社 2003/12 ¥1,575

アマゾンで散々な評価をされてる本書。
私は戸梶圭太の割にメルヘンな表紙に惹かれて手にとった。

27歳。女性。独身。容姿下の上。OL。彼氏無し。
「あーら。なんか自分とかぶる所もあるなぁ」
なんて読んで行っちゃったら、酷い目にあいますよコレ。
特になんや判らん男が出てきて連絡取れなくなるとことか。

めっちゃイライラする。何がって依存しきってる所に。
「あなたがいないと私はダメなの」って女に
魅力があるとは全く思えません。な上にまたこの男が…。
思わず小池真理子の「エリカ」
(http://diarynote.jp/d/71158/20060115.html)を思い出した。
あーイライライライラする。

で、まぁ後半は戸梶っぽい、ですかね。
なんか『ブチギレる女』がこの人のテーマなんでしょうかね。

救いがないといえば救いのない物語だなぁ。
なんだ。個性ってのはそんなに大事な物か?
戸梶の話はブチギレて、「やってられっかヴォケが!!」と
さっぱりとできるところが私は大好きなのに。
切れるだけ切れて、好転しないような物語じゃ、なぁ。

ちなみに最後まで読んでから表紙絵を見ると
印象が180度変わります。だからなんだって訳ではないけれど。



★★★

摩天楼の怪人

2006年2月10日 ★★★
ISBN:4488012078 単行本 島田 荘司 東京創元社 2005/10 ¥3,000

「チッ。あんたがあんだけ出し惜しみしてる間に
京極堂だの火村助教授だの紅子だの犀川先生だの
カリスマ(プ)探偵役は量産されてて、
もう誰も御手洗潔なんか待ってねぇんだよ。今更遅いよ」
と悪態つきながらもきっちり新刊が出たら読む。
なんだろう、なんか刷り込まれてる感。

今回は一つの建築物を巡ったミステリー。
フーダニットではなくハウダニット。
犯人役もなんも捻ってる所は無く、言われた物を言われたとおりに受け取っていて
充分最後までいける感じ。
御手洗が相変わらず不敵でアクティブで素敵…。
建物好きにはよいかもしれない。私にはイマイチ。
映像化、たのむ。無理だと思うが。

ってこの本3000円もするの!?
図書館で借りたので知らなかった…。
じゃ、★3個!確かに素敵本だったが3000円は高い。


★★★

盤上の敵

2006年1月31日 ★★★
ISBN:4062098768 単行本 北村 薫 講談社 1999/09 ¥1,680

私、北村薫の優しいタッチの文体が好き。

でも多分、この本をちゃんと噛み砕けてないような気もする。
だってね、三季の悪意の意味が私には良くわからなかったんだもの。
どうしても、『なぜそういう気持ちを持つに至ったか』を求めてしまう。
多分、この本で言いたかったのはそういう事じゃないとは思うのに。
『理由の無い悪意だからこその理不尽さ、
そしてそれは何の気なしにそこらに転がってるって事』
いや、頭では分かってるんだけどね。

微妙に消化不良。奥さんだって克服してないし。


★★★

エリカ

2006年1月15日 ★★★
ISBN:4120035913 単行本 小池 真理子 中央公論新社 2005/01/22 ¥1,575

どうした小池真理子!

突然死んだ親友の、愛人(古い言い方するとプレイボーイ)との
恋にずるずるはまって行くキャリア、エリカの話。
プレイボーイ湯浅に幻滅しながらも
彼に心の足りない部分を埋めてもらい、湯浅にはまって行く。

かぁぁぁぁぁ。腹の立つ話だ!

小池真理子自体が物凄く上手な作家さんだからこそ頭に来る。
湯浅に翻弄されるエリカにも
セックスした後に内心冷めていく湯浅にも。
変に気持ちが判るから、気持ちの移り変わる描写が丁寧だから
妙に生々しく感じられてしまうのでしょうな。
ああ、もう!

自分の心は自分でどうにかするしかないのに。
足りない物を他で埋めようとするから無理が出てくるのに。
死んだ蘭子はそれが出来たから湯浅と続いた。
エリカは湯浅に埋めることを求めたから冷められた。
ああ、それだけの話なのに何故こんなに後味が悪い?

どんな女の人でもこの本への腹立ちはあるはず。
それはどうしてかと言われたら、
エリカの願いは大多数の女の人と同じだから。


★★★

ファンタズム

2006年1月8日 ★★★
ISBN:4061822926 新書 西澤 保彦 講談社 2002/12 ¥798

アマゾンの紹介文にはこうある。
“騙されるな!よく出来た物語に。”

うん。この一言に尽きますな。
さすがコピーを書く人は良く分かってらっしゃる。

西澤保彦の物語の醍醐味って何処だと思います?
私にとっては“どんなに非日常な設定でもルールが守られてる所”
なんですよ。
七回死ねたって、テレポートできたって、複製されたって
提示してあるヒントに乗れば必ずからくりが分かる所。

いや、“幻想ホラー”というのを見ずに読み進めていっちゃって。
確かに西澤氏っぽい良く出来た非常に面白い事件なんだわ。
(えー。これにどんなロジカルな展開図が!!?ワクワク
どんな風にこれにうまくサゲ付ける気ですか!?ドキドキ)
と読み進めていっちゃったんです。ハイ。

だから、これは『本格ミステリーの皮を被った幻想ホラー』なのだよ…。
理屈なんかありゃしねぇのよ。
これはミステリーじゃない。

じゃぁ私からも。
“騙されるな!よく出来た物語に。”

★★★

空は青いか

2005年10月24日 ★★★
ISBN:4062129841 単行本 花村 萬月 講談社 2005/05 ¥1,575

実際の暴力行為には嫌悪感を隠さない私だが
活字の暴力表現は大好きだ。特に花村萬月の容赦の無い暴力表現。

ま、そんなこと言ってもこれはただのエッセイですよ。
地元の若い奴と喧嘩した話だとか
愛犬の話だとか、感銘を受けたエロ表現の話とか。
軽ーく読める感じがいいかもしれない。

ただ、音楽の話で「今ナンバーガールを聴いている(中略)
音楽業界はもっと向井に注目するべきだ」みたいな話があって
私、この本新刊コーナーで見つけたんでちょっと笑ってしまった。
おいおい。音楽業界ってかみんなナンバガも向井も知ってんぜ。
と。
まぁ、発刊されたのは2005年の5月だけれど
初出は2001年。仕方ないか。タイムラグだな。

★★★
ISBN:4309015700 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 2003/08/26 ¥1,050

『インストール』で割と滅茶苦茶書いたけど
私、これは割と好きかもしれない。
もてあました自意識だけが一人歩きして
いつのまにか自分を自意識に合わせてる感じ、というのでしょうかね。

ひねくれっことしては笑えないお話だったよ。

ハツはその持て余した自意識で鬱屈していくタイプで
にな川はだれかにその自意識を投影させるタイプ。
結局どっちも向き合わなくちゃいけないのは自分自身なんだけど
向き合い方が真っ直ぐじゃないから、
傍目に可笑しく見えるのよね。
ハツがにな川の背中を追ったのは、
多分にな川がオリちゃんを追っていたのと同じ分類の感情じゃ
なかったのかな。

文字数も少ないし、あっさりと読み終えちゃったよ。
勿論、りさたんは可愛い。


★★★
ISBN:4789722619 単行本 松本 百合子 ソニーマガジンズ 2004/04 ¥1,680

閉鎖されたある地域で未だに行われている
「名誉の殺人」。
自分の家を守る為の殺人なら罪に問われない。
そこで恋愛をしてそしてその末に妊娠してしまい、生きながらにして全身を焼かれた女性の告白本。

この手のノンフィクション本は「フライパンで焼かれた」だの「Itと呼ばれた」だの
コピーがあまりに直接過ぎる為、
『ちょっとリアルなホラーフィクション』みたいに扱う人が多い気がする。
なんだろう、葛藤や環境よりも暴力表現が印象として先に立つからか?
こんな扱いで問題提起になっているのだろうかしら。出版元からなんかそんな扱いなのが見えたりして
ちょっとせつない今日この頃。

ああ、この本は暴力表現は抑え目。
話としてはセンセーショナルだけれど、それだけじゃない姿勢はちゃんと窺えます。

★★★

猥談

2005年7月30日 ★★★
ISBN:4022578084 単行本 岩井 志麻子 朝日新聞社 2002/12 ¥1,260

ゲストを三人呼んで、
下の話全開。やりたい放題です。
岩井志麻子はその発言も痛いのだけれど
意図してそれを演じてるのが見えたりもするのだけれど
なんかそれを裏付けるような発言がポンポンと。

岩井志麻子は確かに痛い。
ではこの本は面白くないのか、と聞かれたら
うん。私は面白いと思う。

ま、根元に共感を持てる人とそうでない人の違いみたいなもん。


★★★
ISBN:4562032065 単行本 山口 雅也 原書房 1999/06 ¥1,680

何気なくミステリーの題材に多用されるマザーグース。
さて、実際どんな物があるのだろうか、とか。
味のある、あまり馴染みの無い主人公達を紹介したり、とか。
あとはコラムっぽいの、とか。

キッド・ピストルズ好きの私は
「何を今更」感が拭えなかったかなぁ。

個人的にはマザーグースは谷川俊太郎訳が好き。

★★★

夏の夜会

2005年7月28日 ★★★
ISBN:4334738877 文庫 西澤 保彦 光文社 2005/06/14 ¥560

同級生の結婚式で集まった5人が
話して行くうちにそれぞれの記憶の行き違いを感じる。
早紀と見方君が、ディスカッションしながら
その矛盾をロジカルに解き明かす、ッて話。

私ね、この人の本大好きなのよ。
どんなに突飛な設定でもちゃんと最後には辻褄が合う所とか。
今回は記憶っていう酷く曖昧なものを扱ってるから
どんな落とし方でも出来そうだなぁ、と期待しすぎちゃった時点で私が悪いな。うん。

ま、するする真相に近づいていく時点で
どうも見せ方が地味と言うか。スッキリしない。

SFチックな設定のほうが面白いなぁ。この人の場合は。


★★★
ISBN:4062125366 単行本 村上 春樹 講談社 2004/09/07 ¥1,470

私は村上春樹の小説とは肌が合わない。
「ケッ。じじぃのノスタルジーを巻き散らかすんじゃねぇよ」
と、いつも思ってしまうのね。
じじぃのノスタルジーは悪いものではない。
ただ、そのノスタルジーを妙に結晶化させる作業が鼻につくのだ。

さて、アフターダーク。
評判いいみたいですねー。
肌が合わない私でも、何故違和感があるのか
自分で説明できるまで何冊も何冊も読んだので
彼のストーリーテラーッぷりは良く存じてますよ。
ええと、おねぇちゃんのエリが活かしきれてない印象ですなぁ。
結局、自分の思ってた事も他人に代弁して貰ってるし。
ああ、でもマリの深夜徘徊の理由は個人的に
とても理解できます。私も深夜に家に居られないとき、あります。


★★★
ISBN:4093861412 単行本 嶽本 野ばら 小学館 2004/07/01 ¥1,260

ファッションパンクの何が悪い!!

とうとう開き直ってしまったような嶽本野ばらの処女作、『ミシン』。
行き場の無くなった孤高のパンクロッカー(…何故か恥ずかしい)ミシン、
前作のラストはカサコがミシンのお望み通りステージで撲殺しようとするところで終わってましたが…
読み終わって感想は一言。

『この続編、無い方がいいんじゃない?』

だらだらと、完結した物語を延び延びにするのは嶽本氏の悪い癖です。
ミシンは前作で完結していてよかったんじゃないかなぁ。
でも、そこを抜きにしたら、普通に『イケル』本ですよ。うん。

★★★

三三七拍子

2005年7月27日 ★★★
ISBN:4344405749 文庫 太田 光 幻冬舎 2004/10 ¥520

私はこの人が結構好きなのだが。
これは帯が悪い。『リアル鬼ごっこ』の時と同じ。
その帯のキャッチコピーはこう言うもの。

『実はこんな深い事を考えていました』

中身はそんなに深くないです。
ネットで思考ベクトルが面白い人の書く日記とか雑文とかを本にした感じ。
深くないの。雑文なのよ。

勿体無い。深い事考えてるって帯が言うからっ。
そういう頭で読んだのに書いてあるのは少し洒落た雑文。
最初から『日記もどき』と帯にあったならそれなりに面白く読めたと思うのに。残念。

★★★

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