犬の方が嫉妬深い

2006年5月28日
ISBN:4048732765 単行本 内田 春菊 角川書店 2001/04 ¥1,260

うちのオカンがよく言ってるよ。
「離婚した夫婦に『何で離婚したんですか』って訊いたら
大概は『相手のこれこれこういう所が悪くて』、って言うのよ。
まぁ80%は『私が至らなくて』とは絶対言わない。
だから離婚すんねん。自分視点でしか見なくなるから」って。

ああ、で、この本ね。
私怨ここに極まり。って感じ。
こういう形で昔の旦那に仕返ししてるつもりなんだろうか。
実際見苦しいし、本当に内田春菊視点。
私内田春菊の漫画結構好きなんだけど、それでも彼女サイドには立ちにくい共感の得られない歪な私小説。
彼女は表現者なんだから、もっと上手く書ける筈で
それを歪と感じて共感なんてこれッぽっちも感じないのは
彼女自身がまだ感情的で自己消化しきれないで書いてるから、のような気がする。

弱っていた私を気遣ってくれなかった
私の稼いだお金に感謝してくれなかった
子供の面倒を見るのを面倒臭がった
こんな私に優しい言葉をかけてくれなかった

こんな言葉ばかりが連ねて何度も何度も書いてあって
酷く憂鬱になる。
何故配偶者の態度を自分の鏡として見られないのだろうかね。
『私は大変な中、XXXしてあげたのに』

同じじゃないのかな、向こうから見たら。
お互いに『私(俺)はこんなにしてあげてるのに
あいつはそれに感謝してくれない』。

優しい言葉ってのは乞うもんじゃないだろうよ。
だんなの不備をなじる前に外での恋人を公式の場に連れて行くのを辞めたらどうだい。傷付くよ。相手にしたら。

誰も十年以上も連れ添ってくれ、なんて頼んでない。
そうしてたのは自分と自分の選んだ配偶者でしょうよ。
配慮の無い言動行動に傷付くのはお互い様だよ?

どこかに一箇所でも『私の至らなかった所』について
相手の悪口の1/3でもいいから考えて書いてくれるのであったら
この本はそれなりに不安な気持ちの立場の女性の支えになったかもしれないのに。

残念。



★☆

リアル鬼ごっこ

2005年9月2日
ISBN:4835525795 単行本 山田 悠介 文芸社 2001/11 ¥1,050
(過去ログからサルベージ)

騙されました。悪い意味で。
かさばるのがイヤでハードカバー、もしくはノベルス以上の本は買わない私だが、
『史上最凶最悪の追跡劇がいま始まる。』の帯にまんまと騙された。

作者、アホですよ。

理不尽な殺人劇なら
殺人鬼>バトロワ>本書ですよ。

こんなん中途半端だよ。
捕まったからって連行されるだけ、
いくら後で殺されたって、自分の目で衝撃を受ける訳じゃないじゃない。

殺人鬼は(綾辻行人)、ただひたすらの恐怖があった。
目の前で襤褸の様に大事な人が殺される。
圧倒的な力加減と残虐性。

バトロワは、日常性が怖かったわけ。
自分がソコにはまってもオカシクナイと思ってしまうからこそ怖かったと思う。
勿論殺戮シーンもあった所為だとも思うけど。

本書の標的は『佐藤さん』。
全国1、2を争うこの名字の佐藤さんです。
ま、簡単に言っちゃえば『王国』の王様(佐藤)が
『自分と同じ姓がこの世に500万人もいるのが気に入らないから?佐藤狩り?をはじめる』って感じ。

……作者、アホですよ。

作中で、佐藤以外の名字の人は『自分には関係ないや。』的態度を取るのだが
ふふ。私もそう思いました☆
思ったものは仕方ない。そう思ったら最後、感情移入なんて出来る訳ないじゃない。

大体主人公にも共感できない要素が多い。
1:全国大会に出るほど足が速い。(-20ポイント)
2:『ワル』(ワルって!!!)で中学時はやたらモテた。(-20ポイント)
3:皆に愛されて大事にされてる。(こういう物語でそういうのって必要なんですかね?)(-30ポイント)

しかもラスト。

『誰もが想像できなかった形で幕を閉じた』って書いてありますけどー…

お前読者バカにしてないか?

普通に予測できるッちゅうねん!!

『1週間生き残ったらなんでも望みをかなえてやるわ。』
って王様が)冒頭で言った辺りからね!!!

ったく。

本体価格が1500円以上だったら読者ハガキ出してたトコだわ。


(ありえなぁい。心底馬鹿にした口調で)
ISBN:4835589882 単行本 ひすい ゆめ 文芸社 2005/04 ¥1,470

キタキタキタキタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!!!
私たちはこんな痛い作家を待っていた!
この痛い作家ジャンルでは山田悠介がトップで独走中だったが
対抗馬、現れるものですなぁ。

物語としては、件のアンティークドールに関わった人に
呪いのメールが来る。で、呪われたら死ぬ。
…ん?まぁ待て待て。まだ突っ込むのは早い。
「パッチワークか?」なんて突っ込みはもはや無粋。
とにかく日本語が所々、狂っている。
まるで中学生女子が寝る前に書く日記帳のような文章で物語は進む。
読者と作品の距離感が時々狂うのはこの所為だ。

そして、登場人物の書き分けがあまりにも稚拙だ。
書いてる本人は自分のキャラクターだから見分けもつくだろうが
読んでる私は思いっきり混同した。
棗?…大学生の子だっけ?
朱雀…?生き残った子だっけ?
名前が普通ならまだ覚えようという気にもなったかもしれないが
朱雀だの棗だの凛虎だの漣牙だの、覚えにくいんじゃーーー!!!
(あ、取り乱した)
変わった名前=アイデンティティーの樹立だと思わないで戴きたい。
読みづらいだけです。親近感も沸かない。

他にも、別段物語りに関係の無いものだと思えるものを
知識披露の為にか、だらだらと説明するのもリズムを狂わされるし
雰囲気作りに使ってるのかと思えばあっさり
「長い呪文なので割愛するが」なんて会話じゃなく使っちゃってる。
全体的に中途半端で稚拙で自分勝手な展開は否めない。

なんだよ。この本で自慰昇華行為かよ。


★☆

サイト/倉阪鬼一郎

2005年7月31日
私は、一度読み始めた本は
どんなに面白くなくても一応最後まで読む、
というのを自分に義務付けております。
読書暦20年、破る事もなく読んで参りました。

これは20年目にして初めて投げ出した本です。

夢と現実が混じっていくタイプのホラーなのですが
人物描写・夢の話・サイトの話・心の移り変わり。
どれを取っても読めたものではありませんでした。
筋の必然を求めてはいけない小説なのでしょうか。
あまりに辛くて途中で匙を投げました。
ラスト近くなら何とかなってるものかと後ろの方も見ましたが
同じ調子で物語が終わっていかれるようだったので
再読はしないでおきました。
この本は正直お勧めできません。



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